一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
5月26日~5月30日頃は、二十四節気で言うと「小満」、
七十二候は「紅花栄」と名付けられています。
* * *
紅花栄(べにばなさかう)の言葉通り、
紅花が綺麗に咲く時期です。
紅花は、古代エジプトの時代から染料として使われ、
ミイラの布も紅花で染められていたそうです。
日本では、山形が特産地として有名です。
スタジオジブリの映画『おもひでぽろぽろ』でも、
紅花づくりが描かれていました。
紅花は黄色なのに、どうして紅色=赤なのかというと、
紅花を水に浸してよく洗うと、先に黄色の色素が溶け出し、
その後、アクに浸すなどの加工をすることで、
赤色色素が出てくるんだそうです。
皆さんは、紅花の昔の名称をご存知ですか?
『源氏物語』で不美人扱いされてしまうお姫様の名前と言えば、
思いつく方も多いでしょうか。
そう、「末摘花」です。
お姫様は鼻の先が赤かったことから、
「末摘花(=紅花)」と名付けられてしまうのです。
可哀そうな扱いの「末摘花」ですが、
現代の美醜の感覚に置き換えると、
実は、西洋ハーフ系の美人なのでは?なんて言われていますね。
さて、
紅という言葉は「紅白歌合戦」などでもお馴染みですね。
なぜ、二組に分かれて競うことを「紅白戦」と言うのか?
これは、源平合戦の際に、源氏が白旗、平氏が紅旗を
用いたことが由来のようです。
ところで、
「真紅(深紅)」という言い方がありますね。
今では真っ赤・濃い赤という意味で使われますが、
もともとは、真の紅のこと。
つまり本物の紅花だけを使った色を指します。
紅花から取れる赤色は非常に貴重(金に匹敵するくらい!)
ですので、
茜や蘇芳など、他の植物から取れる赤色を混ぜたものと区別して、
真紅と呼んだのですね。
でも実は、
純度が高く、質の良い紅の色素は、
なんと玉虫色(輝く緑色)になるんです。
(乾燥状態では玉虫色、水を含ませると赤色になるそうです)
本物の紅を意味する真紅は、
今では真っ赤という意味なのに、
純度の高い真の紅は玉虫色だなんて、不思議ですね。