一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
6月25日~6月30日頃は、二十四節気で言うと「夏至」、
七十二候は「菖蒲華」と名付けられています。
* * *
七十二候の「菖蒲華」は、「あやめはなさく」です。
「菖蒲」は「あやめ」とも「しょうぶ」とも読めますね。
「あやめ」はアヤメ科、「しょうぶ」はサトイモ科なので、
別の植物ではあるのですが、
辞書を調べると、「あやめはしょうぶの古名」という表記もあるので、
昔は、「あやめ」も「しょうぶ」も、
どちらも「あやめ」という言い方が出来たようです。
ちなみに、
「しょうぶ」は五月の節句(端午の節句)で用いられますね。
菖蒲湯にしたり、
葉や根を刻んで浸して菖蒲酒にしたり、
髪に飾ったり。
「しょうぶ」には香りがあり、邪気を払う効果があると信じられていたのです。
端午の節句というと、男の子のお祭りというイメージがありますが、
これは武家の文化の影響で、のちに生まれた価値観です。
元々、「しょうぶ」は邪気払いとして用いられましたが、
「しょうぶ」の音が「勝負・尚武」に通じることから、
男の子の成長を祝うお祭りへと繋がっていったのです。
「十日の菊、六日の菖蒲」
という表現があります。
(菖蒲は「あやめ」「しょうぶ」どちらの読みもアリ)
これは、菊の節句(9月9日)を1日過ぎた菊と
端午の節句(5月5日)を1日過ぎた菖蒲のこと。
つまり、時期に間に合わなかったことのたとえです。
さて、
皆さんは、遅れた相手に対して何と言いますか?
「あなた遅刻だよ」というのは、
ちょっとストレートすぎるというか、きつくも聞こえる言い方ですね。
今度から、「遅れている」と直接的に伝えるのではなく、
「あなたって六日の菖蒲ね」
と言ってみてはどうでしょう。
実際に口に出すかどうかは別にしても、
そんな風に思える心のゆとりと風雅さを持っていたいものですね。