一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
9月12日~9月16日頃は、二十四節気で言うと「白露」、
七十二候は「鶺鴒鳴(せきれいなく)」と名付けられています。
* * *
今回の七十二候は、鶺鴒(せきれい)が鳴く時期という意味。
鶺鴒は、スズメ目セキレイ科に属する鳥で、
畑や草地、水辺などに棲んでいます。
一年中見られる鳥ですが、秋の鳥として文学作品に描かれます。
鶺鴒は、実は日本にとってとても重要な鳥。
鶺鴒は尾を上下に振る習性があるそうですが、
日本列島を生んだイザナギ・イザナミという男女の神は、
鶺鴒の尾を振る動作を見て、男女の交わり方を学んだというのです。
そのため、鶺鴒は「嫁ぎ教え鳥」や「妹背鳥」などの異称があります。
(「妹背」とは夫婦のことです)
もし鶺鴒がいなかったら、
イザナギ、イザナミはどうなっていたのでしょう?
鶺鴒に代わり、別の存在が男女のことを教えたのでしょうか。
さて、
世の中は鶺鴒の尾のひまもなし
という江戸時代の俳句があります。
意味は、
世の中というものは、
せわしなく動く鶺鴒の尾よりもさらに慌ただしいものだ。
といった感じです。
今よりスローライフだった面も多い江戸の人すら、
世の中は慌ただしいと言っているのです。
江戸の人が現代人のせわしなさを見たら、
とても驚くのか、それとも、
いつの時代も人間のせわしなさは変わらないと思うのか。。
どこで聞いたか覚えていないので、
出典が不明で申し訳ありませんが、
「忙」という漢字は、「心」+「亡くす」と書くことから、
昔の人は「忙しい」と言うこと(言われること?)を嫌ったそうです。
確かに、「忙しい、忙しい」と言っていると、
余計に忙しさが増すような気がしたり、心も荒んでくる感覚があったりします。
昔の人を見習って、「忙しい」と言うのを控えてみるというのも、
穏やかに暮らす一つの知恵かもしれませんね。