一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
10月13日~10月17日頃は、二十四節気で言うと「寒露」、
七十二候は「菊花開(きくのはなひらく)」と名付けられています。
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七十二候の通り、菊の花が美しい時期になりました。
菊は、奈良時代頃に中国から入ってきたようですが、
古代中国では、菊には不老長寿の薬効があると考えられており、
その思想も日本に入ってきました。
秋には「菊の節句」があり、
菊を浸した菊酒を飲んだり、
「被綿(きせわた)」と言って、節句の前夜に菊の花に真綿を被せておき、
菊の香りと夜露を染み込ませ、その綿で身体を拭ったりしました。
これらも不老長寿を願った風習です。
ちなみに、「菊の節句」は旧暦の9月9日のことですが、
現代の暦に置き換えると大体今くらいの時期になります。
ちょうど菊が美しく咲く時期に、菊の節句があるのですね。
なお、古代中国の陰陽説では、奇数は陽の数、偶数は陰の数と考えました。
そのため、陽の数である9が重なる9月9日のことを「重陽(ちょうよう)」と言い、
「菊の節句」は、正確には「重陽の節句」と言います。
菊は平安時代頃から秋の花として日本文化に定着し、
着物や調度などの文様としても多用されました。
菊の文様というと、
皇室の紋章としての印象も強いですが、
これは後鳥羽上皇が菊の文様を愛用したことが由来だそう。
また、江戸時代になると、
武士や庶民が園芸として菊栽培を好んで行ったそうです。
江戸時代の武士などは比較的、労働時間に余裕があったため、
育てるのが難しい品種の栽培に凝ったとか。
日本文化に根付いてきた菊の花。
ぜひ皆さまも秋の花として楽しんでくださいませ。