一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
11月18日~11月22日頃は、二十四節気で言うと「立冬」、
七十二候は「金盞香(きんせんかさく)」と名付けられています。
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今回の七十二候に登場する「金盞」を
「きせんか」と読んでいますが、
実はここで指している花はキンセンカではなく、水仙のこと。
なぜ水仙なのに「きんせんか」なのかと言うと、
水仙の花弁の白色の部分を銀の台、
金色の部分を銀台に乗った金の杯に例えて、
水仙のことを「金盞銀台(きんさんぎんだい)」と呼んだから。
七十二候ではこの考えをもとに、水仙=金盞と表現しているのです。
また、水仙は雪が積もる時期に咲くことから、
雪中花という異名もあります。
美しい名前ですね。
水仙は英語ではnarcissus(ナーシサス)と言いますが、
これはギリシャ神話に登場する青年ナルキッソス(ナルシス)が由来です。
ナルキッソスのことは、
ナルシストの語源として認識されている方が多いかと思います。
美しいナルキッソスは、泉に映った自分に恋をし、
恋しさのあまり焦がれ死んでしまい、
その後に水仙が残った(水仙に化身した)という神話です。
この話が由来となり、水仙のことをナーシサスと言うのです。
日本には、水仙に関することわざとして、
好いた水仙、好かれた柳
という表現があります。
これは好いて好かれた同士、
つまり相思相愛の男女を水仙と柳に例えた表現なのだそう。
今回調べた範囲では語源がはっきりしなかったため、
なぜ水仙と柳なのかという理由はお伝え出来ないのですが、
恐らく水仙が男、柳が女ではないかな、と思います。
美しい人の眉を「柳眉」と言ったり、
細くしなやかな腰つきな人を「柳腰の美人」などと言うように、
柳はたおやかな女性の例えとして使われることが多いので、
柳=女性かと推測します。
水仙は、ナルキッソスの神話にあるように、西洋では自分自身に恋した存在として描かれ、
日本では柳に恋をしているんですね。
皆さまは、水仙の恋をどう想像されますか?