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【小雪】古典世界の橘と桃はすごい

一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、

それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。

 

ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。

 

12月2日~12月6日頃は、二十四節気で言うと「小雪」、

七十二候は「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」と名付けられています。

 

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橘の実が黄色く熟し始める時期となりました。

 

橘は、食用の柑橘類を指す古い言い方ですが、

特にヤマトタチバナを指すこともあります。

 

ヤマトタチバナは柑橘類の中で、日本唯一の野生種とされます。

果肉は苦く酸っぱいため、食用には向かないそうです。

 

今回は、橘が柑橘類全般を意味しているか、

それともヤマトタチバナだけを意味しているかは深く追求せず、

古典の世界で橘がどんな存在だったかをお伝えしていきます。

 

 

橘は夏の花として、よく和歌に詠まれましたが、

実の方もなかなかに重要な役どころです。

 

古代、垂仁(すいにん)天皇は、部下の田道間守(たじまもり)に対して、

常世の国に行き、「非時香果」を持ち帰ってくるよう命じました。

 

常世の国とは、海の遠い向こうにある不老不死の理想郷のこと。

 

非時香果は、「ときじくのかくのこのみ」と読みますが、

時を定めず常にある輝く果実といった意味になります。

 

不老不死の常世の国にある果実なので、

非時香果には不老不死の効用があったと考えられます。

 

 

そして、田道間守が持ち帰った非時香果が橘の実だったというのです。

(田道間守は一体どこに行っていたのでしょう・・・)

 

 

ただ残念なことに、田道間守が都に戻ってきた時には、

垂仁天皇はすでに亡くなっていました。

 

田道間守は非時香果を天皇のお墓に捧げ、叫び泣くのでした。

 

垂仁天皇は自分の死期を感じて、不老不死の妙薬を求めたのかもしれませんね。

 

 

このように、橘の実には不老不死の力があるとされたようですが、

なんと他にも似たような効用を持った果実が存在します。

 

一体何の果物だと思いますか?

 

 

答えは桃です。

 

古代中国の思想で、桃は魔除けや不老長寿の効果があると考えられていたのです。

 

その思想は日本にも入ってきて、

私達に身近なところでは、桃の節句にこの思想が反映されています。

 

なぜ三月の節句で取り扱われるのが桃なのかと言ったら、

魔除け(悪い気を払う)効果を期待しているからなのです。

 

 

古典の世界の人たちにとって、悪い気を払うことはとても重要だったので、

他にも、魔除け効果を持つとされる植物等はたくさんあります。

 

他の植物のことは、また折を見てご紹介していきたいと思います。